学園ミステリー 放課後の魔女 感想と魅力を紹介
皆さんは文化祭、何をやりましたか?
文化祭では模擬店や何かを発表したり、制作したりと楽しいことがあります。
劇をやった方もいるかもしれません。
今回紹介する小説はその文化祭で起きたミステリー、二人の少女を中心にした人間模様が描かれた小説です。
放課後の魔女の基本情報
作者:橘雨璃先生
イラスト:PEACH-PIT先生
出版社:集英社(JUMPJBOOKS)
ジャンルは学園ミステリー物です。
イラストはローゼンメイデンやしゅごキャラで有名なPEACH-PIT先生が描きました。
放課後の魔女のあらすじ
とある名門の女学校に通う早川花梨と古家咲理は幼馴染でしたがとあることがきっかけで距離を置いていました。
さて、二人が所属するクラスで文化祭でいわくつきの劇をやることにしました。
この劇の準備をする中、様々な事件が起こるようになったのです。
不安を抱えたまま迎えた文化祭当日、大きな出来事が起きてしまいました。
一連の事件の犯人は、そして花梨と咲理の関係はどうなっていくのかがこの物語で見逃せないものです。
放課後の魔女の感想と考察
花梨と咲理の関係
この物語は魔女がモチーフなのか不思議な出来事が起こります。
花梨は猫と話すことができ、日々思ったことを猫に話していました。
てっきり花梨にはその力があると思っていたのですが、なぜ話せるようになったのかが結末で描かれます。
咲理に冷たくされてもめげずに、明るい子だと思っていた花梨に闇があったとはと驚きましたね。
寂しさから大きなことをしてしまった花梨を見ていると胸を痛めました。
咲理が花梨に冷たく当たったのは大きな壁にぶつかったからです。
些細なこと、ボタンをかけ間違えたように二人の関係が悪くなり修正不可能ではと思うくらい距離が開いていた二人の関係が最後にはよりよい方向に行って安堵しました。
放課後は特別な時間
放課後は夕方の時間帯。
昔から夕方は特別な時間とされていました。
今みたいに夜が明るくなかった頃、逢魔が時と呼ばれた夕方には妖や化け物がたくさん出てきて恐ろしいことになると言われていたのです。
このことを踏まえると確か花梨が猫と話をしていたのは放課後でしたね。
学校と家に挟まれている花梨にとって放課後は自分だけが安心できる居場所みたいなものなんだなあと感じました。
理解者がいなかった彼女にとって学校と家はどちらかというと窮屈な場所だったかもしれません。
一日の中では数時間しかない放課後が自分の想いを解放できる貴重な場所だったと思いました。
シュレーディンガーの猫たち
タイトルは魔女ということで猫が出てきました。
猫は魔女の相棒として有名ですが、他にも哲学の場面でも現れることがあります。
それはシュレディンガーの猫です。
このシュレディンガーの猫というのを簡単に説明すると箱の中に入れられた猫が生きている可能性もあれば、死んでいる可能性もあるというものです。
さて、このシュレディンガーの猫という視点で考えると花梨と咲理、そして同級生の女の子たちは猫、そして学校や家庭などの環境を箱と見ていくとみんなはそれぞれ抱えながら生きていることを感じました。
花梨は人間関係の悪化、咲理は将来の夢に対して才能が追い付かないことや親の反対があること、そして二人の同級生である委員長は成績が思うようにいかないなどそれぞれ抱えているのです。
自分を囲んでいる息苦しさを抱えながら女の子たちが生きている、それぞれの心理描写が描かれており、自分の学生時代に抱えていた気持ちを思い出しました。
劇によって不幸が起こる理由
さて、文化祭ではいわくつきの劇をやることにしましたがそれによって様々な事件が起きてしまいました。
なぜ劇を行うだけで事件が起きてしまうのか、それは脚本、物語の内容が思春期の子たちに突き刺さっていくからだと思います。
劇の内容は全体的に暗いものであり、実際に延じている最中では中止するべきだという声が上がるほど。
引き寄せの法則、そしてフェルテル効果で闇に引き込まれてしまったかもしれませんね。
生きている上で闇が生れるものですが、その闇をそのままにしていたらどんなことが起きてしまうのかというのがこの物語の訴えだと思います。
自分自身を見つめること、そして闇を闇のままにしてはならないと感じました。
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今回読んでいただき誠にありがとうございました。
次回もよろしくお願いします。