奈良で見かける鹿について調べてみた。 豆知識から歴史まで
みなさん、こんにちは。
千年鯨です。
実は秋に旅行で奈良に訪れたのですが、鹿さんの可愛さや恐ろしさで心が揺れ動きました。
鹿について何も知らないなあと思ったのと、どうして奈良の鹿さんは人々から大切にされているのかと気になったので調べてみました。
奈良の鹿が大切にされている理由は神の使いだから?
奈良で見かける鹿さんは人々にとって大切な存在です。
1957年に国の天然記念物に指定されるほど、神聖な生き物として君臨しています。
なぜなら鹿は神の使いだからです。
春日大社で伝わる話
奈良の鹿が神の使いだと言われる由来は春日大社にある伝説からだと言われています。
春日大社の社伝「古社記」には以下の通りの話が記されています。
1.760年代の平城京では災いが起きており、人々は不安に揺れていた。
2.当時の天皇は称徳天皇、奈良の大仏の建設に関わっていた聖武天皇の娘であり、父親と同じく仏教を中心とした政治を行う。
3.国をどうにかして安定した状態にしようと思っていたところ、茨城県の鹿島神社から春日大社の祭神である武甕槌命(タケミカヅチノミコト)が神鹿に乗って訪れた
そうです。
それからは平安時代には鹿が降り立った春日山辺りの伐採や採集が禁じられて自然保護の取り組みが始まり、鹿も大切にされ始めました。
奈良公園の鹿が特別なのはは独自の遺伝子型を持っているから!?
さて、奈良公園の鹿について最近すごいことがわかりました。
それは奈良公園の鹿が独自の遺伝子型をもっていることです。
2023年1月31日、福島大学と奈良教育大学の研究チームが記者会見を開いて明らかになりました。
研究チームは20年間、奈良公園の鹿と紀伊半島の鹿から血液などのサンプルを採集し、母親のみに受け継がれる「ミトコンドリアDNA」を抽出するなどして研究してきました。
その結果、奈良公園の鹿は紀伊半島などに生息する鹿とは遺伝子の配列が異なっているとわかったのです。
奈良公園の鹿さんたちは1000年前に他の鹿さんと交流が途絶えたこと、神の使いとして大切にされ始めたことからこのような結果が出たのではと言われています。
奈良で鹿に出会える場所は?
奈良と言えば鹿が有名です。
奈良の街を歩いていると自然と鹿さんに出会えます。
具体的な場所だと
・東大寺
・春日大社
・興福寺
・猿沢池
・奈良公園
・若草山
・浮見堂
で鹿さんに出会えます。
夜の鹿さんはどこにいる? どうしてる?
太陽が出ている間、鹿さんは奈良の街の至る所に居ます。
しかしながら、夜の間はどこにいてどうしているのか気になってので調べてみました。
夜には奈良公園の茂みにいるらしいです。
らしいというのはどこで寝ているのか正確な場所は把握されていないとのこと。
茂みがあるところ以外にも道路で寝ている場合もあるそうです。
鹿さんが大好き! 鹿せんべいとは?
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鹿せんべいは鹿さんが目の色を変えるほど大好きなものです。
鹿せんべいとはどんなものか調べてみました。
鹿せんべいは鹿さんのおやつ
実は鹿せんべいはおやつなのです。
普段はどんぐりや葉っぱなどの植物を食べて過ごしています。
この鹿せんべいは鹿さんにとって安全な食べ物であり、鹿せんべいを結束する紙も害がない優しいものなのであげても問題ありません。
ちなみにこの鹿せんべいの売り上げの一部は鹿さんの保護のために使われています。
観光と自然保護で鹿せんべいは役立っているのです。
気になる鹿せんべいの味は?
実は小学生の頃、鹿せんべいを食べたことがあります。
鹿さんがいないところで同級生3人と共に鹿せんべいを食べてみました。
塩やこしょうなどの調味料がないから味は全くなし、パサパサとした食感でした。
人間にとっては食べない方がいいものですね。
鹿さん、よくあんなの好きだなあと驚いたものです。
鹿せんべいの売っている場所や値段は?
鹿せんべいを買うには奈良公園内にある売店やお茶屋さん、もしくは猿沢池の近くにあるコンビニで買うことができます。
値段は10枚で200円。
現金で購入できます。
鹿せんべいを安全に購入・あげるコツ
鹿せんべいは鹿さんが興奮するほど大好きな食べ物です。
そのため、鹿せんべいを買うと自然と鹿さんが集まって囲まれるのです。
もし鹿さんに囲まれたら手を大きくパーに開いてないことを主張してください。
そうすれば鹿さんはエサがないことを知って他のところに行きます。
また、あげかたについては
・さっさとあげること
・鹿さんが少ないところであげること
・腕を伸ばして距離を取るように鹿せんべいをあげること
をすれば安全に鹿せんべいをあげられます。
鹿さんたちが集まる!? 鹿寄せとは?
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普段はあらゆるところで自由にのびのびとしている奈良の鹿さんですが、奈良には鹿さんを一気に呼び寄せる技があります。
それは鹿寄せです。
鹿寄せとはどんなものかこれから紹介します。
伝統行事の一種、鹿寄せとは?
鹿寄せとはナチュラルホルンの音色で鹿を呼び寄せる奈良の風物詩です。
鹿寄せの始まりは1892(明治25)年に鹿園竣工奉告祭でラッパを使ったことからだそうです。
現在は観光イベントで予約する、もしくは夏か冬の無料でやる早朝のイベントにて見られるそうです。
集まった鹿さんたちはご褒美としてどんぐりを与えられ、用が済んだら山に帰るとのこと。
運が良かったらぜひ見てくださいませ。
鹿さんの角を切る儀式、鹿の角きりとは?
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江戸時代から続く伝統行事で、毎年10月の始めの開催されます。
鹿の角きりの歴史
江戸時代 1672(寛文12)年に奈良奉行の溝口信勝の命令がきっかけで始まりました。
当時の奈良の人々は鹿の角による事故で被害を受けていました。
そのことから当時の鹿の管理者であった興福寺に溝口信勝が鹿の角切りについて要請したそうです。
鹿の角きりの流れ
1.安全祈願
春日大社で怪我や事故が起きないよう安全を祈願します
2.春日大社にある鹿切り場に入場
勢子と呼ばれる鹿さんを捕まえる人たちが赤旗を持って入場します。
オスの鹿さんが入場すると鹿さんを追いかける合図として太鼓が鳴ります。
3.追い込んで捕まえる
捕らえられた鹿さんはゴザの上に抑えられます。
神官役が興奮した鹿さんの気を沈ませるために水を飲ませた後、角を切り落とします。
神鹿として大切にされている鹿さんの角は神前に供えられるとのことです。
鹿の角切り、鹿さんがかわいそうと思われる理由とは?
鹿の角切りについて検索をかけると、検索候補にかわいそうという文字が出てきました。
大勢の人が鹿さんを追いかける姿や押さえつけて角を切る姿から、鹿の角切りは動物〇待なのではと思う人がいるそうです。
鹿の角切りは痛くない?
さてこの行動は動物〇待に当たるか否かですが、調べてみたところ該当しないと思われます。
鹿の角切りが行われる時期の鹿さんの角には血管や神経が通ってないため、痛みがないそうです。
また、鹿さんの角を切る際はゴザを敷いて体を傷づけないよう配慮しています。
元は鹿さんや私たち人間を傷つけないよう考えた儀式です。
そのため、鹿の角切りは私たちと鹿さんが仲良く生きるために必要なものなのです。
奈良の鹿さんへのタブー、やってはならないこと
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さて、奈良にはたくさんの鹿さんがいますがやってはならないことがあります。
鹿さんは野生動物であるため、私たちが何気にやっていることがタブーなのです。
鹿さんにあげてはならないもの
・お菓子
・パン
・野菜
・残飯
などをあげてはいけません。
それらを食べると鹿さんたちは病気になったり、事故につながる恐れがあります。
また、チラシやビニールなどを与えるのもいけません。
それらは消化しきれずに鹿さんの胃の中に残り、体調を崩すことになるからです。
春と秋、鹿さんの気が荒い時期に注意
鹿さんは特に春と秋に気が荒い傾向にあります。
春:出産後のメスの鹿さんが子供を守る
秋:オスの鹿さんが発情期に入る
という理由で鹿さんが人に襲い掛かったり、角で攻撃したりします。
小鹿さんには絶対に近寄らない、触らない!
先ほど述べた春の時期は鹿さんにとって大切な時期です。
お母さんの鹿さんは子供である小鹿を大事に育てるために懸命な時期なのです。
小鹿さんに触ろうとするとお母さんの鹿さんが小鹿さんを守ろうとして攻撃的になります。
触ってしまった場合は小鹿さんに人間の匂いがついてしまいます。
お母さんは小鹿さんの匂いで自分の子供かどうか識別するため、人間の匂いが付くと認識できなくなって育てなくなるのです。
小鹿さんにとってお母さんの鹿さんがいないと生きていけないため、大変なことになります。
小鹿さんの命を守るため、優しく遠くから見守ってください。
鹿さんがお亡くなりになったら? 供養について
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奈良の鹿さんは神の使いですので、生れてからずっと大切にされます。
奈良の鹿さんは交通事故などで毎年360頭ほどお亡くなりになるそうです。
お亡くなりになった鹿さんは奈良公園にある鹿苑で火葬、その後鹿塚に埋葬されます。
毎年11月には春日大社の神職さんによって供養されるとのことです。
まとめ 奈良の鹿さんは偉大なり!
奈良の鹿さんは可愛いだけではなく、神の使いとして人々に大切な存在であることがわかりました。
人と鹿の共存の考えは昔からあり、安全に生活するには欠かせない儀式があるのです。
可愛いからという理由で何気ない行動で接すると後々大きな問題になる場合があります。
やってはならないことを頭に入れながらも、鹿さんを優しく見守りましょう。